特別講演者 略歴

ヒルサイドビュー矯正歯科

池田和己先生

1979   日本大学歯学部卒業

1981   ペンシルバニア大学歯学部 矯正科卒業

1981   東京都台東区開業

1987   東京都目黒区開業

1989   American Board of Orthodontics取得

1985-87 サンフランシスコにてRoth/Williams 2年間コース受講

1990より Roth/Williams Internationalセミナー主催

2007   東京都渋谷区に統合移転

『顎関節円板の位置と矯正治療』

MRIが円板位置の確定に用いられるようになって20年がたちました。画像がより鮮明になるにつれ、矯正治療前の患者にすでに円板転位を起こしているケースが少なくないことが解ってきました。ごく最近のカナダの報告によりますと思春期の男子で60%、更に女子では85%に円板の転位が認められるそうです。TMJの問題と歯列の状態とはそれ程の関連性がないという見解がある一方やはり口腔内の咬み合せとTMJの問題には関連があるのではと考える臨床医もおり、論争は中々かみ合いません。TMJの問題と書きましたが、顎内障がポピュラーでその中で円板転位は大多数を占めると思います。TMJの問題と歯列の状態との関連はさておいてこの円板転位と矯正治療との関係はどうでしょうか。矯正治療を受ける患者の多くに円板転位のある状況は矯正歯科を担当する者にとってどういう意味をもつのか考えておく必要性を誰も否定できないと思います。矯正臨床医は十分に準備が出来ているでしょうか。具体的に言えば矯正治療を希望する患者さんが時々音が顎関節ですると言ったとします。先生方はどうしますか。すぐに歯の移動を始めますか。一次治療中にHGをしていて顎関節が痛いという患者さんはどうでしょう。そのまま続けますか。円板がずれていると下顎の成長に影響することが解かっており動物実験でも確認されています。成人矯正も普通になりました。円板転位の問題をほとんどの患者さんはもっています。円板が正常の位置にある人は本当に少数です。先生方はそのような患者にそのまま歯牙移動をはじめたり、顎外科を行ないますか。

顎関節は顔の形、骨格の問題、顎の成長発育、咬合、歯周組織、歯牙の健康に大きく関与しています。咬合を変化させる歯科矯正治療を行なうことと関係がないわけはありません。しかし現状では前もって十分に診断されていません。矯正治療が患者にとって意義あるものとなるためには顎関節を意識した治療が不可欠であることは明白です。短い時間ですが、私の臨床経験からこの少なくとも臨床にとって重要な関連を客観的な記録を用い説明したいと思います。